利用者とのコミュニケーションのコツ
正しく伝える・読み取るために
具体的に伝える
障害の影響で自分の気持ちを上手く表現できないだけでなく、曖昧なニュアンスから意図を汲み取ることが苦手な利用者もいます。そういった利用者に対しては、何かの説明をする際はできる限り具体的な表現を使うようにしましょう。「大体」「少し」「これくらい」などの曖昧な表現は伝わりづらく、逆に極端な行動を招く可能性があります。例えば、レクリエーションを実施する際は「○○分まで」と明確に伝えると、利用者も正しく理解できます。また、一度にいくつもの説明をすると混乱するので、作業が完了してから次の説明をするようにしてください。順番や優先順位を示すことが重要です。
ニュアンスや意図を理解することが難しい利用者は、冗談などを文字通りに受け取る可能性もあります。遠回しな表現や曖昧な表現では内容を理解できず、誤解を招くかもしれません。普段の言葉遣いから注意してコミュニケーションを取っていきましょう。
情報の伝え方・受け取り方を工夫する
人間は聴覚や視覚などを使って情報を受け取りますが、障害によって聞く・読む・話すといった特定の情報伝達手段が困難な利用者もいます。そういった場合は、情報交換の手段を工夫しなければなりません。例えば、聴覚に問題のある利用者に対しては、メモに書いて伝える方法を用いることになるでしょう。聴覚による情報認識が困難な利用者に難易度の高い説明を口頭で行っても、正しく理解することはできません。逆に、言語機能に問題のある利用者の場合は、思っていることをメモに書いてもらうといった方法になります。
情報が上手く伝わっていないことが、利用者がストレスを感じている原因であるケースも少なくありません。問題行動が起きた際に、障害そのものの影響なのか、それとも情報が上手く伝わっていないことが原因なのか、正しく見極めた上で適切に対応していきましょう。
スムーズに行動できるように
障害者施設はあらかじめ決めたスケジュールに沿って運営されています。しかし、コミュニケーションが滞ると利用者が行動に移るまでに時間がかかってしまいます。その結果、他の利用者にも影響が及び現場が混乱してしまうかもしれません。そうならないよう、普段の生活や行動をある程度パターン化し、伝えておく必要があります。
また、誰かに教えてもらわないと気付かない利用者もいます。集団生活の中で自然と身につくことでも、障害の影響で難しいケースがあります。物事の見え方や感じ方、捉え方は利用者ごとに異なるということを認識した上で、コミュニケーションを取ってください。